Aさん:修論のタイトルは私は出さなくて良いんですか?

教授:ああ、その話なんだけど、4時ごろに僕の部屋に来てくれる?

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あの日
小保方 晴子
講談社
2016-01-29


Aさん:え、私、卒業出来ないんですか?

教授:ああ、この時期(12月)に修士論文の方向性も定まっていないわけだ。それにこの2年間で学会発表を一回もしてないよね?確かに明文化してはいないけど、一回も学会発表しないまま卒業させるのはなくしていこうってことなんだ。それだと専攻的にも研究室的にも卒業させることは出来ない。
今すぐテーマが決まったとして、実験か調査して半年遅れで卒業するのを目指した方が現実的だ。あなたもそう思うよね?

Aさん:でも、私、就職決まっていますけど、それはどうすれば良いんですか?
教授:どうすればいいってのは僕に聞かれても困るけど、就職は出来ないよね。来年の4月には…。

Aさん:じゃあ、就職はどうすれば…?

教授:来年の就活時期にすれば良いんじゃないか?

Aさん:そうですね。。でも、私は確かに研究の方針もしっかり定まっていなかったですけど、それは知識が足りなくて勉強ばかりになってしまっただけで、研究はまじめにやってきました。それでも卒業出来ないんですか?

教授:いや、だからだよ。

Aさん:?!

教授:勉強と研究って違うよね?
今、あなたが言った通り、大学院は勉強しましたってのじゃダメなの。勉強しましたってのは、学部までの授業で終わったの。ここは大学院なんだから研究をやる所なんだよ。

Aさん:そうなんですか。。
でも、歴代の先輩達でも、全然研究をまじめにやってない人いましたし…

教授:いや、まじめかどうかは関係ないんだ…よ。

Aさん:・・・そうなんですか。。

教授:でも、それって研究だけじゃないよね?!だって、ふつうの勉強でもやってねえって言っておきながらテストで良い点とるやついたでしょ?

Aさん:まあそうですけど。。

Aさん:それにB君とか全然研究室来てないし…

教授:B君のことはあまり考えないでおこうよ。人、それぞれなんだからさ。
だから、ダメなんじゃない?人は人、自分は自分。

Aさん:そうですよね…

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